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拉致被害者の蓮池薫さん(49)が、韓国で100万部売れた小説を邦訳した。題名は「私たちの幸せな時間」(新潮社)で31日の発売。映画も近く公開される。実際に翻訳して、どんな感銘を受けたのか。


蓮池さんが今回翻訳した小説は、こんな場面から始まる。

 3回自殺未遂した元歌手で美術講師の女性が、3人殺した罪で死刑が確定した男に面会するためソウルの拘置所に通う。社会への絶望など互いに似た点を見つけ、しだいに心を通わせる――。

 翻訳には半年を費やした。蓮池さんは「その期間は本当に『幸せな時間』でした。訳すうちに目からウロコが落ちていった。死刑や児童虐待など、この世には『わからない』ではすまされないことが多い。他人の痛みや苦しみに少しでも関心を持てば、世の中は少しずつ良くなっていくのかなと感じた」と話す。

 主人公の女性を、キリスト教の修道女である叔母が「偽善者は善が何かを知っているからそんなに嫌いじゃない。嫌いなのは偽悪的な人。悪いことをしておきながら、自分が善良と思われたいとひそかに願う哀れな人間よ」と諭す場面がある。

 蓮池さんは「こういう名文句にいくつも出会った。翻訳の間、ずっと考える楽しみがあり、退屈しなかった」と語る。

 初めて翻訳した小説は「孤将」(金薫(キム・フン)著、新潮社)。朝鮮の歴史上の英雄・李舜臣(イ・スンシン)の孤独と死を描いた。「人間にとって大切で不変なのは生と死。『孤将』も今回の作品も、生死ぎりぎりの状況で人間の感情を表現しており、その線を外したら失敗だと思った」

 今作品の原作者は、韓国を代表する作家の孔枝泳(コン・ジヨン)さん(44)。5月中旬に来日して蓮池さんに初めて会った孔さんは、北朝鮮による拉致について「同じ民族として申し訳ない」と謝った。

 蓮池さんは「それは韓国や北朝鮮の人々ではなく一部政治家の問題」と答え、2人は意気投合した。蓮池さんは孔さんについて「自分に正直に生き、結果にも責任を持っている方。その代表作を訳せたことは光栄だった」と話している。

 孔さんが死刑制度を題材にした作品の執筆を思い立ったのは97年12月。1日で23人に死刑が執行されたニュースに衝撃を受けた。04年から拘置所に通い、死刑囚や刑務官の話を聞いた。「凶悪な罪を犯した人はみな幼少時に悲惨な過去を持っていた。言葉は苦悩に満ち、真に迫っていたが、同時に不思議なくらい穏やかで温かだった」

 死刑囚だった金大中(キム・デジュン)氏が98年に大統領になって以来、韓国で死刑執行はない。今作品が05年に出版されると、死刑賛成派だった法相が新任検事に本を配り「死刑について討論しなさい」と指示するなど、死刑廃止運動に影響を与えたという。

 映画は韓流スターの姜棟元(カン・ドンウォン)、李娜英(イ・ナヨン)の主演で06年秋公開され、韓国で300万人が見た。国内でも7月14日に東京都内などで公開予定。宋海星(ソン・ヘソン)監督(42)は「微妙な感情を表現する場面が多く、映画化は本当に難しかった」とする。

 孔さんは試写会を5回見て、そのたびに感激して泣いたという。

 蓮池さんも妻祐木子さん(51)と3回見た。「抑えた形の愛情表現に心打たれた。互いに触れあうこともままならない2人が少しずつ心の傷を癒やし合い、最後に『愛してる』の一言で終わる。悲しい物語だが、何か力を得たような余韻が残った」

【朝日新聞より】

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